平成21年6月14日(日)
未明のモーニングコールは3時15分である。バンコクのツインタワーホテルからブータンのパロ空港までの動きを克明に記述してみると次のようになる。
・2時40分には体内時計が作動し目覚めたので洗顔・用便と荷造りを済ませモーニングコールが鳴るまでには出発準備完了。
・3時15分モーニングコール。
・3時45分機内預け荷物を部屋の外へ。
・4時15分ホテル出発。バスに乗り込み朝食用のボックス弁当を受け取る。
・4時40分バンコクのスワンナブーム国際空港着。
・4時40分~6時40分 預け荷物の検査、手荷物検査、税関検査、出国l検査。
・6時40分KB13便に搭乗。
・6時54分エンジン始動。機体は移動開始
・7時04分15秒離陸に向けて全力疾走開始。
・7時05分00秒離陸。
・9時45分パロ空港へ着陸。バンコクとの時差1時間、東京との時差3時間。
何時ものことながら離陸時と着陸時の一瞬には緊張する。離陸時の全力走行の時間を測定する習慣が身についているのか反射的に腕時計の秒針に目がいく。経験則ではどの飛行機も概ね45秒~60秒の走行で離陸するようである。
機中では下界の模様は雲に覆われていて見ることが出来ない。着陸が近づいた頃雅楽に似た音楽が流れたのが印象的であった。
現地ガイドのシェラブさんの説明によれば搭乗したDRUK AIR(Roiyal Bhutan Airlines)は僅か二機しか航空機を所有していない小さな航空会社であるという。
同社のホームページ にはルートマップは近日公開予定と記載されているだけなので詳細は判らないが7都市、6ケ国で営業していると記載されている。
パロの空港に降り立つと海抜2500メートルの山間の盆地に開設された空港であることがよく判る。空港の建物もチベット風であるのが印象的であり長閑な雰囲気が漂っている。
ブータン空港
観光バスも大型のものは運行されていない。観光地への道路の幅員が狭いので大型バスは通れないのである。
小型バス運転手のニマさんは民族衣装を纏ってハンドルを操るブータン屈指の名ドライバーであり、NHKのテレビにも出演したことがあるという。ご多分に漏れずブータンでも世界不況の影響を受けて観光客が減っており、観光案内の仕事がない時には自営タクシーの運転手に変身するのだという。
パロの市街地が俯瞰できる海抜2400メートルのビューポイントでパロ空港周辺の市街地を撮影した後パロ市内に入り、野天弓場を見学した。
空港も見えるパロ市街地
野原に設けられた弓場で140メートルの射程を的に向けて金属製の弓で矢を射る遊びである。民族衣装を纏った男達が二本ずつ矢を射るのである。我々は的の近くで見学した。矢が的に見事的に命中すると監視役の男達が的場に集まり口々に歓声をあげながら踊りをする。見学している女達も人輪を作って踊りをする。
矢が的を外れた時でも監視役の男達が一射毎に的場に出てきてこぼれ矢を拾っては射手に大声で感想を怒鳴るのである。中には携帯電話で通話している者もいた。
的の前で的中を祝福し踊る競技者
暫しこの遊びを見学した後、運の良いことに弓場の近くにある自由市場を見学することも出来た。日曜日に限り自由市場は開催されるという。出店者は自宅の菜園や田畑で採れた野菜を商うのである。地面に敷布を引いた上に野菜や果物を並べただけの原始的な商取引である。とても小さな玉葱や馬鈴薯とか二股や三つ股になった大根などよくもこんな屑がと思われる野菜も並んでいる。早いうちは大賑わいであった市場も売り切れになると店仕舞いをするので瞬く間に朝の賑わいは閑散としたものに変わっていく。
日曜日限定で開かれる野菜市場
勤め人達も日曜日なので自家菜園の野菜を売りに出して小遣い稼ぎをするという。目方を量る天秤は懐かしい光景である。
続いてパロ市内の目抜き通りを見学した。この目抜き通りはパロ空港の開港に合わせて建設が進められた新市街地であり1983年に完成した新しい街である。中国の雲南省の麗江の町並を連想した。
市内の一角に雑草の生えている空き地があり、いきなりガイドが草叢に分け入り一掴みの草を持って大麻だという。大麻が空地に自生しているのである。
空港の開業と相前後して建設されたパロの中心市街
パロの市街地の見学を終えレストランで昼食にブータン料理を賞味した。ビュッフェ式なので全品少しずつ試食してみた。唐辛子とチーズで作られたエマダチという料理は辛いが美味いと思った。辛いので多くは食べられないが食欲を増進させる作用があるようである。
全品取り揃えたブータン料理
食後は山中の曲がりくねった道を宿泊地のティンプーへ向けてバスは疾駆した。途中小休止したチュゾンでは雨による土砂崩れで道路の半壊した箇所を目撃した。道路が抉り取られた様子をみると山間の僻地で住民達が自然と闘いながら厳しい生活を送っている姿を垣間見た思い出がした。
道路の半分が崩壊したチュゾンの崖崩れ
夕刻テインプーの街に到着しHotel Doragon rootsへ投宿した。
テインプーのホテル・ドラゴン・ルーツの部屋に荷物を置いてから早速市街探訪に出かけた。ホテルの近くに公園があった。まだ人は集まってはいなかったが野外観覧席風に設計された一角があり広場で演じられる大道芸などをこの観覧席から観賞するのであろうか。
道筋に沿って暫く散策してみた。インド系を思わせる人々が大勢集まっている一角があった。職業紹介又は斡旋所なのだろうか。現地ガイドのシェリブさんの説明が脳裏に浮かぶ。「インド人が人件費の高いブータンへ沢山出稼ぎに来ています。ブータンの勤労者の平均的な月収は日本円換算で約3万円です。道路工事や建設工事にはインド人が多く働いています。日曜日にはインド人が情報交換のため集まってくる場所があります」
日曜日に集まってくるインド人出稼ぎ者の人々
通常アジアの国々を訪問すると人の集まる観光地には必ず乞食や押し売りがいて辟易させられるのだが、この国ではまだその体験がない。
タクシーも沢山走行しているが小型ワゴンタイプであるのも珍しい。
街の一角でゲームをしている青年達を目撃したので立ち止まって観察していたら、人なつこい笑顔を見せて写真を撮ってもいいよとの仕草をしゲームに興じていた。

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