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2016年8月

2016.08.26

“外弁慶”の中国は10回化ける?

中国の現代史を面白い表現で的確に説いた所論を発見した。以下は全て渡部亮次郎氏から配信されたメルマガからの転載である。

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“外弁慶”の中国は10回化ける?
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          加瀬 英明

中国の現行漢字の簡略字は、簡体字と呼ばれている。中華の華を化の下に 十と書いているからだ。きっと、10回化けるという意味なのだろう。

中華人民共和国が1回目に化けたのは、?小平が実権を握ると、「白猫で も黒猫でも、鼠を捕りさえすればよい」といって、毛沢東の共産主義を、 すりきれた沓(くつ)である弊履(へいり)のように捨てて、資本主義に切り 替えて、経済成長を党是か、国是とした時だ。

江沢民時代に入ると、野放図な経済成長が中国社会を歪めたために、愛国 主義を加えることによって、2回目に化けた。

胡錦濤時代になると、中国は世界のなかで貧富の格差が、どこよりも大き く開くようになったために、毛沢東時代に反革命思想として敵視していた 孔子崇拝を復活して、金持も極貧者も睦みあおうという、「和諧社会」を スローガンとして選んだ。3回目に化けた。

習近平時代に入ると、また化けた。無茶苦茶な成長によって経済が破綻し たために、中国人が古代から夢見てきた、「偉大な5千年の中華文明の復 興」を掲げて、中華大帝国を復活しようと煽るようになった。

いまや、習主席の中国は南シナ海全部が中国のものである、と主張するよ うになっている。南シナ海は、地中海より大きい。オバマ政権が中国と対 決するのに怯(ひる)んで、眼を背けていた間に、満潮時に海面下に潜る、 7つの岩礁を埋め立てて、3000年以来の「神聖な領土だ」と叫んでいる。

習主席は、7月にハーグの国際仲裁裁判所が7つの人工島について、中 国の主張を認められないという判決を下すと、「紙クズでしかない」と いって、斥けた。

中国のマスコミは、アメリカが仲裁裁判所を操ったといっせいに非難し て、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)などアメリカ企業をボイ コットするように、呼び掛けた。ところが、KFCの前に反米の幟(のぼ り)を持った群衆が集まると、警察隊が解散させた。反体制の暴動に発展 することを、恐れたのだ。

中華人民共和国は、誰よりも人民を恐れている。だが、人民の支持を確保 するためには、外に対して強面(こわおもて)をしなければならない。中華 帝国の復興の夢を煽るためには、東南アジア諸国、日本、アメリカに対し て、一歩も譲れない。

といって、習体制は国際社会から孤立することを恐れている。強面が行き すぎたことも、悔いている。しばし日本、アメリカに対して微笑(ほほえ) みたいものの、どうしたらよいのか、苦慮しているところだ。

中国が2、3年以内に、南・東シナ海において軍事冒険を試みる可能性 が、きわめて高いと思う。中国人は商人(あきんど)の国だから、かならず 勝てる戦争しかしない。アメリカと正面から衝突するようなことはしない。

アメリカで誰が次期大統領となっても、内に籠ることになろう。中国は世 界が流動化しているところに、付け込もうとしよう。

中国は今年6月になってから、海軍艦艇に尖閣諸島の接続水域をしばしば 航行させて、既成事実をつくることをはかっている。

中国が軍事冒険を試みれば、ホーバクラフトなどを用いて、尖閣を占領し よう。その場合に、アメリカは日本を援けて介入しまい。

中国を囲む海で、尖閣がもっとも脆い環だ。

中国の兵法では、古代から「軟土深掘(ニアンソウシエントウオ)」(柔か い土は、深く掘れ)という。


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2016.08.24

神藤流QCというネットビジネスを試してみた

ある日神藤流QC勧誘のメールが飛び込んできた。

最低年収1000万円を保証するという内容である。試しにコメントを書くと毎日二通ずつ勧誘のメールが届くようになった。実に巧妙にできたビデオを最後まで見させる手法には感心した。

やり方をほぼ理解したので試してみたが、説明文にあるような儲けが出せる代物ではないことが判った。

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2016.08.21

現状維持」政策に委縮するな

渡部亮次郎氏から配信されたメルマガに掲載された以下の所説に共感したので転写した。


        Andy Chang

「現状維持」はアメリカの押し付け政策である。アメリカは中国の
恫喝で戦争になることを恐れるあまり、日本と台湾に現状維持、事
なかれ主義を要求する。中国が南シナ海で岩礁埋め立てで滑走路を
作り、レーダーを設置しても、または尖閣諸島に230隻の漁船と監
視船を送り込んでも日本に衝突を避けるように要求する。

台湾では新政権が発足したあとも現状維持、中国と話し合いを催促
する。中国は「92共識」(台湾と中国は一つの国と言う相互認識)
を台湾側に強要する。中国が南シナ海で滑走路を作り、ハーグ国際
法廷の判決に反対を唱え、尖閣諸島近海に漁船を送り、尖閣は中国
の領土であると勝手な主張をしてもアメリカは黙視する。

このことからわかるように、アメリカは中国の横暴な進出に対して
何もしないばかりか日本や台湾が迷惑してもガマンを要求するだけ、
つまり日本と台湾はアメリカの現状維持政策の被害者である。

●「現状維持」がアジア不穏の原因

現状維持は双方の責任である。日本や台湾に現状維持を要求するな
ら同じことを中国や北朝鮮にも要求しなければならない。しかしア
メリカは中国に勝手な真似をするなと警告しない。日本と台湾には
中国を刺激するような行動を止めよと要求する。中国はアメリカが
止めろと言うまで横暴な拡張を続ける。アメリカが中国の勝手な行
動を阻止しないからアジアの不穏が増すのである。

現状維持がアメリカの政策ならアメリカが率先してやるべきである。
狡賢いアメリカはやらないで日本や台湾にやらせる。中国が勝手な
拡張をしても日本と台湾は委縮して何も出来ない。これが現状だ。

●日本は萎縮より強くなるべき

中国の横暴な発展を打破するなら日本はアメリカに現状維持を要求
すべきだ。アメリカのおかげで日本は軍隊を持つことさえできず、
憲法改正もメディアが中国や韓国の脅迫に怯えて反対論を展開する。
メディアは中国やアメリカの言論に影響されて日本の国益を無視し
ていると言える。

アメリカが現状維持を要求するなら日本が再軍備して中国の武力に
対抗できるようななることこそ望ましい。アメリカは日本の再軍備
に賛成すべきなのに、日本の再軍備に反対圧力をかける。

アメリカの政策が間違っているなら日本は正々堂々と反論すべきだ。
日本が中国と対等で戦える戦力をつくるのをアメリカは歓迎すべき、
日本再軍備でアメリカが反対できるはずはないし、反対すれば堂々
と反論すればよい。

中国に文句を言えないアメリカが日本に何が言えるのか。アメリカ
は日米安保を破棄するような恫喝論を持ち出すだろう。だがしかし、
日本こそアジア平和の要塞であることはアメリカが一番理解してい
る。日米安保とはアメリカのアジアにおける存在と利益のため、日
本各地に米軍基地を設置しているのである。日本の基地を失えばア
メリカは東亜から撤退することになり、アメリカの大損害だ。

日本はアメリカに対し、尖閣諸島近海にアメリカの軍艦を派遣して
中国の漁船を追っ払えと要求すべきである。アメリカは南シナ海に
空母を派遣すると同時に中国に対し、ハーグ国際法廷の判決を尊重
し、岩礁建設の中止と退去を要求すべきである。

●現状維持と台湾の萎縮

蔡英文が2012年の総統選挙に立候補した時、アメリカはダグラス・
パールを派遣して国民党の馬英九支持を表明した。明らかな内政干
渉である。

アメリカは台湾人が総統に当選すれば独立意識が高まるとみて反対
したのである。今年1月に蔡英文が立候補して大勝利したが、アメ
リカは現状維持を強要し、蔡英文政権は萎縮して何もできない。

今年7月に台湾でミサイル誤射事件が起きた。このミサイルは台湾
が独自開発した20~200メートルの超低空で、マッハ3の高速で飛
行して標的を捜査し命中させるC4ISR型ミサイル、しかも400キロ
の行動距離があるミサイルだった。アメリカは驚いた。

アメリカは台湾が弱いこと、アメリカの防衛に依存することを願っ
ている。ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ元AIT所長
は最近の講演で、(1)台湾が新型ミサイルを開発したが解放軍を弱
体化させられるか。(2)台湾海峡の不安を増加させることはアメリ
カにとって重要な鍵となる。

(3)台湾が要求するような新型戦闘機、

船艦、潜水艦やタンクを提供するのは効率に合致しない。(4)中国
は台湾いつまでも対話を避けるなら忍耐力を失って武力に訴えるか
もしれない。(5)アメリカには台湾放棄論もあるし、中国と戦争を
避けるため台湾がアジア友好国における安全保障を軽減させること
もある、などと述べた。台湾の自己防衛力の増加に反対していると
しか思えない発言だ。台湾が萎縮して何もできずアメリカに頼るこ
とを強要しているのである

●アメリカの強いパートナーとなれ

日本と台湾はアメリカの恫喝に似た自己防衛力増加に反対を慎重に
検討しなければならない。アメリカは頼れるか。頼れないなら自己
防衛しかないが、アメリカを怒らせないように自力発展を遂げるべ
きだ。日本も台湾もアメリカに構わず新武器を発展させ、中国に断
固たる態度で対峙すべきである。

アメリカの現状維持(事なかれ主義)に萎縮して中国に無気力であれ
ばアジアの不穏は増加する一方だ。アメリカの事なかれ主義に萎縮
せず自己防衛力を増加させてもアメリカが日本と台湾を放棄するこ
とはありえない。台湾と日本、どちらを放棄してもアメリカはアジ
アから撤退せざるを得ない。中国に勝手な行動をさせないことはア
メリカが歓迎すべきで反対すべきでないことを外交力でアメリカに
悟らせるべきだ。


          

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2016.08.08

後払いの日本文化と先払いの中国文化

渡部亮次郎氏から配信されたメルマガに優れた評論を発見した。以下はすべて同メルマガからの転載である。

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支那流は「俺の面子をまず立てろ」
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平井 修一

産経8/4「日中『政冷経冷』時代へ 13億人市場に『魅力』も熾烈な競争  経済同友会が訪中」から。

<1日、北京の釣魚台迎賓館で訪中団と会談した中日友好協会会長の唐家 セン元国務委員は安倍政権について「言葉では友好と言いつつも行動が必 ずしも伴っていないのではないか」と批判。「政治が冷えていれば『経 熱』になるのは不可能だ」と述べ、「友好的な政治環境の構築」を政権に 働きかけるよう要請した。

やや唐突な内容に日本側の出席者からは「意外な発言」との感想も漏れ た。東シナ海や南シナ海問題で中国側に妥協しない安倍政権へのいらだち とともに、日本から対中投資が大幅に減少していることへの懸念も背景に あるようだ。中国商務省の発表によると、2015年の中国への直接投資額は 25.2%減少した>(以上)

唐家センは日本から投資を呼び込むのが仕事で、それが上手くいっていな いので大いに面子を潰され、不愉快なのだ。

田中信彦氏の論考がこのところ冴えている。氏のプロフィールには「中 国・上海在住。1983年早稲田大学政治経済学部卒。毎日新聞記者を経て、 90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング 活動に従事」とある。人材活用のプロだ。

氏の論考『「先払い」の中国、「後払い」の日本~中国人と付き合う法』 (WISDOM7/29)から。

<最近、南シナ海や東シナ海における領有権問題の議論が激しくなってい る。政治的な議論をするつもりはないが、中国のあるウェブサイトを読ん でいたら、中国政府の幹部が大意において以下のような発言をしたと報じ られていた。

「中国外交には以下のような特徴がある。もしあなたが私と良い関係にあ り、私のメンツを立ててくれれば、それにふさわしい配慮をして、譲歩す ることにやぶさかでない。しかし、仮にあなたが私のことを尊重せず、強 い態度に出るなら、こちらも強い姿勢で臨む」

この発言は中国人の思考の脈絡を考えるうえで、とても興味深い。

この発言の根底に流れている論理は「先に相手がこうしてくれれば、私は こうする」という考え方である。まず自分のメンツを立てるのは相手であ る。まず相手の行動を期待する。くだけた言い方をすれば、相手に「先払 い」を求めているのである。

政治の場だけでなく、同様の発想は中国の日常生活に根強く流れている。 今回はそんな話をしたい。

*他人に冷たい中国人

中国の社会で暮らすと実感することだが、中国の人々は見知らぬ人に対し て非常に冷淡である。例えば、マンションでエレベーターに乗る。途中の 階で誰かが乗ってきたとする。その人が顔見知りである場合を除き、ほと んど無反応である。日常生活で他人と挨拶を交わすという習慣はほぼない。

お店や飲食店などに行っても基本は同じである。お客が笑顔で歓迎される ことは少ない。最近でこそ従業員教育を施した店も増えてきて、客が来る と「歓迎光臨(いらっしゃいませ)」などと声をかける店も増えてはきた が、それでも大方の従業員は義務的にやっている感じで、店主が目を離す とすぐに元に戻ってしまったりする。

だから初めて中国に来た外国人は「中国はサービスが悪い」「中国人は愛 想がない」「ぶっきらぼう」などといった印象を持つことが多い。

しかし、実はこの問題を解決する非常に簡単な方法がある。誰でもできる 即効性のある方法だ。それは、こちらから先に笑顔で挨拶をすることであ る。そうすると中国の人たちは多くの場合、途端に花が咲いたような笑顔 になり、時には慌てたように挨拶を返し、以後、私に対してにこやかに接 してくれるようになる。これは高い確率で有効な方法なので、中国に行く 機会があったらぜひ試してみていただきたい。

*「自尊心の維持」から出発する中国人

なぜそういうことになるのか、そのメカニズムを分解してみよう。

この行動には、中国社会の面子(メンツ)の問題が大きく影響している。 メンツとは「“自分が他人より優れている”ことを周囲に認めさせたい」と いう意識である――と第33回「面子とは何か~中国社会を動かすエネルギー 源」で書いた。なぜ中国人が、一般に他人に対して愛想がよくないのかと いえば、それは中国人の心理の根底に「自分を低く見られたくない」とい う意識があるからである。

中国社会では「自尊心」が非常に重く考えられており、「自分の本心を覆 い隠して他人に迎合する」とか「プライドを省みずに他人に媚びる」と いった行為を強く否定する。そしてそういう行動をする人を嫌うし、信用 できないと考える。もちろん、自分はそういうことを絶対にやりたくない と思っている。

やや極端に言うと、日常の行動がすべて「自尊心の維持」という観点から 出発している。ふだん街を歩いている時でも、「私は私だ。なぜ他人に媚 びへつらわなければいけないのだ」と思っている。中国人を見たら「自尊 心のかたまり」が歩いていると考えてちょうどいいくらいである。

というようなことだから、中国社会では「自分のほうから他人に笑顔でア プローチしていく」という行動が起きにくい。むしろ、見境なく周囲に愛 想を振りまくような人間を低く見る傾向すらある。「あいつは右顧左眄し ている。確固たる自分というものがないのか」というわけだ。

多かれ少なかれ、誰にもこういう意識があるから、自分から率先して相手 に好意を示そうとする人が少ない。日本人がなんとなく常に曖昧な微笑み を浮かべているのに対し、中国人はあまり人前で笑顔を見せない。常にし かめっ面をして歩いているような印象がある。要するにそれは、自分が見 くびられるのが嫌だからである。

*「あなたがそうしてくれるなら…」

ところがこういう自尊心の強さは、相手から先に自分に対する好意が示さ れた途端、一瞬にして満足される。自分は自分のままなのに、相手から先 に笑顔で挨拶されたということは、自分の存在が相手から認められた、相 手から自分が尊重されたことに他ならない(と中国人は受け止める)。こ うなると嬉しくて仕方がない。そして突然、満面の笑顔になって、自分を 尊重してくれたその相手に、自分も最大限の好意で向き合おうとするので ある。

要するに誰もが相手に好意の「先払い」を求めている。これが中国社会の 共有されたルールというか、行動のスタンダードになっている。

*「後払い」の日本社会

こうした考え方は社会の隅々にまで及んでいる。例えば、中国人の働き方 がそうである。中国の人たちは会社から評価を先払いしてもらわないと働 かない。「賃金の前払い」ではない。「自分に対する評価」の先払いであ る。

どういうことか。日本社会の考え方と比較しながら説明してみよう。

日本社会の働き方はすべからく「後払い」である。「まずとにかく頑張 れ。悪いようにはしないから」とか「入社○年ぐらいは修行だと思って文 句を言わずに働け。まず自分の力をつけるのが先だ」といった類の考え方 は、建前上はともかく、本音では現在も根強くある。こうした考え方に反 発し、経験が乏しいうちから自分の力を認めてほしいと主張すると、「生 意気だ」「10年早い」などと言われる。

働く側の個人も、なんとなくそういうものだと思っていて、とにかくまず 実力をつけることが先で、要求を表に出すのはそれからだと考える傾向が 強い。まず良い仕事をする。報酬は自ずとついてくる――といった話が日本 人は好きだし、実際にそう考えてコツコツと努力をする人が少なくない。 これは明らかに日本人の美徳だろう。

終身雇用的な考え方は崩れてきてはいるものの、日本の大きな組織の人事 体系は新卒採用が軸で、長期間かけて組織内で能力形成していくのが普通 だ。そこでは今でも、若いうちは比較的低い賃金に甘んじて経験を積み、 10~20年といった長い年数をかけて帳尻を合わせる。これも一種の後払い 的な発想ということができる。

*評価を「先払い」する中国社会

ところが中国社会はそうなっていない。先に述べたように、中国人はさな がら「歩く自尊心」だから、まず自分の能力が認められなければ、そもそ も働こうという気にならない。まず自分のことを高く評価してほしい。当 然それには、評価に見合った報酬が附属するはずである。そうすれば自分 は一生懸命働きます――というのが普通の感覚である。

だから、中国人の経営者やマネジャーは、人を採用する時はもちろん、日 常業務の中で部下を動かそうとする時、常に評価の先払いを心がける。誰 かにある仕事を任せたいと考えた時、心中では「こいつに任せて大丈夫か なあ」と思っても、「キミは素晴らしい力がある。キミならできる」と持 ち上げて、働かせる。その一方で、現実の能力は疑わしいのだから、進捗 のプロセスをチェックする仕組みを確実に構築しておく。

当然、その人材に能力があることを認めたのだから、それに見合った報酬 を先に約束する。ただその場合でも、報酬の一部を目標達成後に支給する 成果報酬としたり、もし達成できなかった場合には、降格や最悪の場合、 契約を延長しないといったペナルティが待っているのが普通である。

このように働き方の面でも、中国社会には先払い的感覚が存在している。 もちろんこれは、全体としてそのような傾向があるという話であって、個 別には当然そうでない個人も企業もあるし、どちらが良くてどちらが間 違っているという話ではない。具体的に検証してはいないが、世界を見渡 せば、こういう先払い的感覚のほうが世界の多数派かもしれない。

*優秀な人が寄ってこない日本企業

その結果、何が起きるかというと、日本企業に優秀な人材が集まりにくく なるのである。日本企業は人に対する評価も、それに伴う報酬も「後払 い」なので、中国人的感覚からすると、「自分は認められていない。自分 の価値が正当に評価されていない」という思いがつきまとう。その結果、 強い意欲が湧いてこない。また賃金体系も後払い的色彩が強いので、本当 にそのお金がもらえるのか、心もとない。「実力が伸びたら払うよ」と日 本人は言うのだが、本当にそれが実現するか、確信が持てない。

そんなことがあって中国の日系企業では、なかなか高い実力を持った人を 引きつけにくいうえに、いったん入った人材であっても、働いているうち に自分に対する会社の評価に疑念を持ち始め、退社してしまうというケー スは非常に多い。先払いか後払いかという感覚の差は、さまざまなところ で影響しているのである。

*なぜ中国人は日本に来て気分が良くなるか

中国社会では先に述べたように、すべての人が相手から先に自分を立てて くれることを期待しているので、互いに牽制し合って、双方が「オレは偉 いんだぞ」と意地を張っているようなところがある。この「メンツのせめ ぎ合い」は傍から見ているとなかなか面白く、興味尽きないものがある が、もともとあまりメンツに深いこだわりがなく、実利を取ればいいと考 えている人間から見ると、効率悪いことこのうえない。

別に人に頭を下げても減るものではなし、こっちから先に挨拶したところ で自尊心に痛みがあるわけでもない。別にそれで相手の気分がよくなり、 その場の雰囲気が明るくなって仕事がスムーズに進めば、こちらにとって もメリットがある。さっさとそうしてしまえばいいのにと思うことは少な くない。

近年、中国から日本に旅行に来る人が激増し、そのほとんどの人が日本で の接客やサービスに大きな満足を得て帰っている。中には一種の「日本中 毒」になってしまい、「日本のサービスが忘れられない」と年に何度も日 本を訪れるようになってしまった知人もいる。

どうしてそういうことが起きるのかというと、中国ではたとえ商売であっ ても、そこに従事している人は、自尊心が邪魔をして自分から先に一段へ りくだってお客を尊重するという行動を取りたがらない。香港や台湾の社 会はまだしも、供給側に有利な、硬直した計画経済の時代が長く続いた大 陸中国ではなおそうである。

そこへいくと日本社会は、まずお客を尊重する。仮に少額しか買わないお 客であっても、お客はお客、丁重に応対する。そういう職業意識がある。 お客に頭を下げて自尊心が傷つけられるという人は日本には少ないだろ う。こういう態度に中国人は弱い。

「自分は尊重された、大事に扱われた」と感じると、相手にも好意を持た ずにいられなくなる。相手からの尊重に自分も応えなければならないと思 う。中国人とはそういう人たちである。これが中国人の日本旅行人気、日 本での旺盛な消費の一つの理由になっている。

*評価の戦略的な先払い

そういう習性があるので、中国社会でも、優れたリーダーや商売人になる ような人は、この中国人の感性を最大限に利用する。つまり率先して自分 から相手を尊重して、それで相手を動かそうという戦略を取るのである。 要するに評価の戦略的な先払いである。

中国の優秀な人は、まず自分の周囲にいる人の能力を自分から率先して認 める。それを言葉や形にして、大仰なくらいに表現する。自分のほうから 部下や目下の人間に積極的に声をかける。

社会的、社内的に地味な仕事、目立たない業務、辛い仕事に就いている人 に積極的に目を配る。相手を尊重し、自尊心を満たす。その種の仕事に従 事している人からみれば、自分よりも優越的な地位にある人から声をかけ られれば嬉しくないわけがない。あの人は見ていてくれた、自分が尊重さ れたという証(あかし)だからである。

そうやってメンツをどんどん先払いして、人に「貸し」をたくさんつく る。それを貯めておいて、いざという時にドンと使う。

私はもういい歳だから(平井:55歳くらいか)、周囲の友人知人は年齢的 にも成熟して比較的裕福な層が多い。そういう人たちの行動を見ている と、何かにつけてプレゼントを贈ったり、旅行先でお土産を買ってきた り、こまめにWeChat(微信)などのSNSでコンタクトしたりしながら、周 囲の人間を褒め、相手の家族を褒め、「私はあなたを尊重していますよ」 というメッセージを送り続けている。これはすべて何かの時のための「先 払い」なのである。

*「実を捨てて名を取る」社会

だから私もそういう優秀な中国人を見習って、できる限り先払いを心がけ ている。タクシーに乗ったら、まず自分から運転手さんに笑顔で「ニイハ オ」と言う。無反応なことも少なくないが、めげない。

マンションのガードマンさんには行き帰り、必ず笑顔で挨拶し、できる限 り雑談して、さりげなく労をねぎらう。ホテルやレストランでトイレに 入って、中で掃除をしている人がいたら「謝謝」とお礼を言う。とにかく 「先払い」する。

そうやってみると、中国の社会は格段に生きやすくなる。みんな私に好意 を持ってくれるからだ。偉そうにしていても何もいいことはない。

さすがに国家間の関係となると、先払いばかりしている訳にはいかないか ら話は複雑だが、相手の心理を考えるヒントにはなる。

「名を捨てて実を取る」という言葉があるが、中国社会はある面、多くの 人が自ら好んで「実を捨てて名を取っている」ようなところがある。この あたりに「中国」という巨大な存在とうまく付き合うカギがあるように思 う>(以上)

実に上手いね。支那流は「俺の面子をまず立てろ」なのだ。「さすがに国 家間の関係となると、先払いばかりしている訳にはいかないから話は複雑 だが、相手の心理を考えるヒントにはなる」、なるほど、日本が習近平を たたえ、譲歩すれば、WINWINで13億市場にアクセスできるというわけだ。

ところが日本企業の現実は「もうウンザリ、中国とは市場欲しさに“耐え がたきを耐え、忍び難きを忍んで”付き合ってきたが、もうピークは終 わった、中国ビジネスは今やお荷物、いかに撤収するかが課題だ」となっ ているだろう。

覆水盆に返らず、日本企業の中国進出を先導したパナソニックを2012年に 破壊した時点で、日中友好は終わったのだ。彼らは「井戸を掘った人」を 忘れるどころか血祭りにしたのである。我々は、少なくとも小生はこの暴 挙を永遠に忘れない。血は血で贖われるべきである。

経営の神様を侮辱した報復として、小生は中共党員8000万人は必ず殺す。 天安門式に戦車で踏みつぶす。それが嫌なら離党せよ、離党して誠意を示 せよ、先払いで「俺の面子をまず立てろ」や、習近平の首を持って来い。 さすれば情状酌量で罪一等を減じ、死罪から永蟄居閉門にしてやろう。汚 染大陸で自滅するがいい。

日本人の多くはそんな風に思っているのではないか。習近平が「平和的台 頭」「韜光養晦」をやめて「偉大なる支那民族の復興」へ舵を切ったとき に、中共は後戻りできない「面子迷路GO」にはまったのだ。間もなく穴に 落ちるだろう。(2016/8/6)

平井修一

産経8/4「日中『政冷経冷』時代へ 13億人市場に『魅力』も熾烈な競争  経済同友会が訪中」から。

<1日、北京の釣魚台迎賓館で訪中団と会談した中日友好協会会長の唐家 セン元国務委員は安倍政権について「言葉では友好と言いつつも行動が必 ずしも伴っていないのではないか」と批判。「政治が冷えていれば『経 熱』になるのは不可能だ」と述べ、「友好的な政治環境の構築」を政権に 働きかけるよう要請した。

やや唐突な内容に日本側の出席者からは「意外な発言」との感想も漏れ た。東シナ海や南シナ海問題で中国側に妥協しない安倍政権へのいらだち とともに、日本から対中投資が大幅に減少していることへの懸念も背景に あるようだ。中国商務省の発表によると、2015年の中国への直接投資額は 25.2%減少した>(以上)

唐家センは日本から投資を呼び込むのが仕事で、それが上手くいっていな いので大いに面子を潰され、不愉快なのだ。

田中信彦氏の論考がこのところ冴えている。氏のプロフィールには「中 国・上海在住。1983年早稲田大学政治経済学部卒。毎日新聞記者を経て、 90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング 活動に従事」とある。人材活用のプロだ。

氏の論考『「先払い」の中国、「後払い」の日本~中国人と付き合う法』 (WISDOM7/29)から。

<最近、南シナ海や東シナ海における領有権問題の議論が激しくなってい る。政治的な議論をするつもりはないが、中国のあるウェブサイトを読ん でいたら、中国政府の幹部が大意において以下のような発言をしたと報じ られていた。

「中国外交には以下のような特徴がある。もしあなたが私と良い関係にあ り、私のメンツを立ててくれれば、それにふさわしい配慮をして、譲歩す ることにやぶさかでない。しかし、仮にあなたが私のことを尊重せず、強 い態度に出るなら、こちらも強い姿勢で臨む」

この発言は中国人の思考の脈絡を考えるうえで、とても興味深い。

この発言の根底に流れている論理は「先に相手がこうしてくれれば、私は こうする」という考え方である。まず自分のメンツを立てるのは相手であ る。まず相手の行動を期待する。くだけた言い方をすれば、相手に「先払 い」を求めているのである。

政治の場だけでなく、同様の発想は中国の日常生活に根強く流れている。 今回はそんな話をしたい。

*他人に冷たい中国人

中国の社会で暮らすと実感することだが、中国の人々は見知らぬ人に対し て非常に冷淡である。例えば、マンションでエレベーターに乗る。途中の 階で誰かが乗ってきたとする。その人が顔見知りである場合を除き、ほと んど無反応である。日常生活で他人と挨拶を交わすという習慣はほぼない。

お店や飲食店などに行っても基本は同じである。お客が笑顔で歓迎される ことは少ない。最近でこそ従業員教育を施した店も増えてきて、客が来る と「歓迎光臨(いらっしゃいませ)」などと声をかける店も増えてはきた が、それでも大方の従業員は義務的にやっている感じで、店主が目を離す とすぐに元に戻ってしまったりする。

だから初めて中国に来た外国人は「中国はサービスが悪い」「中国人は愛 想がない」「ぶっきらぼう」などといった印象を持つことが多い。

しかし、実はこの問題を解決する非常に簡単な方法がある。誰でもできる 即効性のある方法だ。それは、こちらから先に笑顔で挨拶をすることであ る。そうすると中国の人たちは多くの場合、途端に花が咲いたような笑顔 になり、時には慌てたように挨拶を返し、以後、私に対してにこやかに接 してくれるようになる。これは高い確率で有効な方法なので、中国に行く 機会があったらぜひ試してみていただきたい。

*「自尊心の維持」から出発する中国人

なぜそういうことになるのか、そのメカニズムを分解してみよう。

この行動には、中国社会の面子(メンツ)の問題が大きく影響している。 メンツとは「“自分が他人より優れている”ことを周囲に認めさせたい」と いう意識である――と第33回「面子とは何か~中国社会を動かすエネルギー 源」で書いた。なぜ中国人が、一般に他人に対して愛想がよくないのかと いえば、それは中国人の心理の根底に「自分を低く見られたくない」とい う意識があるからである。

中国社会では「自尊心」が非常に重く考えられており、「自分の本心を覆 い隠して他人に迎合する」とか「プライドを省みずに他人に媚びる」と いった行為を強く否定する。そしてそういう行動をする人を嫌うし、信用 できないと考える。もちろん、自分はそういうことを絶対にやりたくない と思っている。

やや極端に言うと、日常の行動がすべて「自尊心の維持」という観点から 出発している。ふだん街を歩いている時でも、「私は私だ。なぜ他人に媚 びへつらわなければいけないのだ」と思っている。中国人を見たら「自尊 心のかたまり」が歩いていると考えてちょうどいいくらいである。

というようなことだから、中国社会では「自分のほうから他人に笑顔でア プローチしていく」という行動が起きにくい。むしろ、見境なく周囲に愛 想を振りまくような人間を低く見る傾向すらある。「あいつは右顧左眄し ている。確固たる自分というものがないのか」というわけだ。

多かれ少なかれ、誰にもこういう意識があるから、自分から率先して相手 に好意を示そうとする人が少ない。日本人がなんとなく常に曖昧な微笑み を浮かべているのに対し、中国人はあまり人前で笑顔を見せない。常にし かめっ面をして歩いているような印象がある。要するにそれは、自分が見 くびられるのが嫌だからである。

*「あなたがそうしてくれるなら…」

ところがこういう自尊心の強さは、相手から先に自分に対する好意が示さ れた途端、一瞬にして満足される。自分は自分のままなのに、相手から先 に笑顔で挨拶されたということは、自分の存在が相手から認められた、相 手から自分が尊重されたことに他ならない(と中国人は受け止める)。こ うなると嬉しくて仕方がない。そして突然、満面の笑顔になって、自分を 尊重してくれたその相手に、自分も最大限の好意で向き合おうとするので ある。

要するに誰もが相手に好意の「先払い」を求めている。これが中国社会の 共有されたルールというか、行動のスタンダードになっている。

*「後払い」の日本社会

こうした考え方は社会の隅々にまで及んでいる。例えば、中国人の働き方 がそうである。中国の人たちは会社から評価を先払いしてもらわないと働 かない。「賃金の前払い」ではない。「自分に対する評価」の先払いであ る。

どういうことか。日本社会の考え方と比較しながら説明してみよう。

日本社会の働き方はすべからく「後払い」である。「まずとにかく頑張 れ。悪いようにはしないから」とか「入社○年ぐらいは修行だと思って文 句を言わずに働け。まず自分の力をつけるのが先だ」といった類の考え方 は、建前上はともかく、本音では現在も根強くある。こうした考え方に反 発し、経験が乏しいうちから自分の力を認めてほしいと主張すると、「生 意気だ」「10年早い」などと言われる。

働く側の個人も、なんとなくそういうものだと思っていて、とにかくまず 実力をつけることが先で、要求を表に出すのはそれからだと考える傾向が 強い。まず良い仕事をする。報酬は自ずとついてくる――といった話が日本 人は好きだし、実際にそう考えてコツコツと努力をする人が少なくない。 これは明らかに日本人の美徳だろう。

終身雇用的な考え方は崩れてきてはいるものの、日本の大きな組織の人事 体系は新卒採用が軸で、長期間かけて組織内で能力形成していくのが普通 だ。そこでは今でも、若いうちは比較的低い賃金に甘んじて経験を積み、 10~20年といった長い年数をかけて帳尻を合わせる。これも一種の後払い 的な発想ということができる。

*評価を「先払い」する中国社会

ところが中国社会はそうなっていない。先に述べたように、中国人はさな がら「歩く自尊心」だから、まず自分の能力が認められなければ、そもそ も働こうという気にならない。まず自分のことを高く評価してほしい。当 然それには、評価に見合った報酬が附属するはずである。そうすれば自分 は一生懸命働きます――というのが普通の感覚である。

だから、中国人の経営者やマネジャーは、人を採用する時はもちろん、日 常業務の中で部下を動かそうとする時、常に評価の先払いを心がける。誰 かにある仕事を任せたいと考えた時、心中では「こいつに任せて大丈夫か なあ」と思っても、「キミは素晴らしい力がある。キミならできる」と持 ち上げて、働かせる。その一方で、現実の能力は疑わしいのだから、進捗 のプロセスをチェックする仕組みを確実に構築しておく。

当然、その人材に能力があることを認めたのだから、それに見合った報酬 を先に約束する。ただその場合でも、報酬の一部を目標達成後に支給する 成果報酬としたり、もし達成できなかった場合には、降格や最悪の場合、 契約を延長しないといったペナルティが待っているのが普通である。

このように働き方の面でも、中国社会には先払い的感覚が存在している。 もちろんこれは、全体としてそのような傾向があるという話であって、個 別には当然そうでない個人も企業もあるし、どちらが良くてどちらが間 違っているという話ではない。具体的に検証してはいないが、世界を見渡 せば、こういう先払い的感覚のほうが世界の多数派かもしれない。

*優秀な人が寄ってこない日本企業

その結果、何が起きるかというと、日本企業に優秀な人材が集まりにくく なるのである。日本企業は人に対する評価も、それに伴う報酬も「後払 い」なので、中国人的感覚からすると、「自分は認められていない。自分 の価値が正当に評価されていない」という思いがつきまとう。その結果、 強い意欲が湧いてこない。また賃金体系も後払い的色彩が強いので、本当 にそのお金がもらえるのか、心もとない。「実力が伸びたら払うよ」と日 本人は言うのだが、本当にそれが実現するか、確信が持てない。

そんなことがあって中国の日系企業では、なかなか高い実力を持った人を 引きつけにくいうえに、いったん入った人材であっても、働いているうち に自分に対する会社の評価に疑念を持ち始め、退社してしまうというケー スは非常に多い。先払いか後払いかという感覚の差は、さまざまなところ で影響しているのである。

*なぜ中国人は日本に来て気分が良くなるか

中国社会では先に述べたように、すべての人が相手から先に自分を立てて くれることを期待しているので、互いに牽制し合って、双方が「オレは偉 いんだぞ」と意地を張っているようなところがある。この「メンツのせめ ぎ合い」は傍から見ているとなかなか面白く、興味尽きないものがある が、もともとあまりメンツに深いこだわりがなく、実利を取ればいいと考 えている人間から見ると、効率悪いことこのうえない。

別に人に頭を下げても減るものではなし、こっちから先に挨拶したところ で自尊心に痛みがあるわけでもない。別にそれで相手の気分がよくなり、 その場の雰囲気が明るくなって仕事がスムーズに進めば、こちらにとって もメリットがある。さっさとそうしてしまえばいいのにと思うことは少な くない。

近年、中国から日本に旅行に来る人が激増し、そのほとんどの人が日本で の接客やサービスに大きな満足を得て帰っている。中には一種の「日本中 毒」になってしまい、「日本のサービスが忘れられない」と年に何度も日 本を訪れるようになってしまった知人もいる。

どうしてそういうことが起きるのかというと、中国ではたとえ商売であっ ても、そこに従事している人は、自尊心が邪魔をして自分から先に一段へ りくだってお客を尊重するという行動を取りたがらない。香港や台湾の社 会はまだしも、供給側に有利な、硬直した計画経済の時代が長く続いた大 陸中国ではなおそうである。

そこへいくと日本社会は、まずお客を尊重する。仮に少額しか買わないお 客であっても、お客はお客、丁重に応対する。そういう職業意識がある。 お客に頭を下げて自尊心が傷つけられるという人は日本には少ないだろ う。こういう態度に中国人は弱い。

「自分は尊重された、大事に扱われた」と感じると、相手にも好意を持た ずにいられなくなる。相手からの尊重に自分も応えなければならないと思 う。中国人とはそういう人たちである。これが中国人の日本旅行人気、日 本での旺盛な消費の一つの理由になっている。

*評価の戦略的な先払い

そういう習性があるので、中国社会でも、優れたリーダーや商売人になる ような人は、この中国人の感性を最大限に利用する。つまり率先して自分 から相手を尊重して、それで相手を動かそうという戦略を取るのである。 要するに評価の戦略的な先払いである。

中国の優秀な人は、まず自分の周囲にいる人の能力を自分から率先して認 める。それを言葉や形にして、大仰なくらいに表現する。自分のほうから 部下や目下の人間に積極的に声をかける。

社会的、社内的に地味な仕事、目立たない業務、辛い仕事に就いている人 に積極的に目を配る。相手を尊重し、自尊心を満たす。その種の仕事に従 事している人からみれば、自分よりも優越的な地位にある人から声をかけ られれば嬉しくないわけがない。あの人は見ていてくれた、自分が尊重さ れたという証(あかし)だからである。

そうやってメンツをどんどん先払いして、人に「貸し」をたくさんつく る。それを貯めておいて、いざという時にドンと使う。

私はもういい歳だから(平井:55歳くらいか)、周囲の友人知人は年齢的 にも成熟して比較的裕福な層が多い。そういう人たちの行動を見ている と、何かにつけてプレゼントを贈ったり、旅行先でお土産を買ってきた り、こまめにWeChat(微信)などのSNSでコンタクトしたりしながら、周 囲の人間を褒め、相手の家族を褒め、「私はあなたを尊重していますよ」 というメッセージを送り続けている。これはすべて何かの時のための「先 払い」なのである。

*「実を捨てて名を取る」社会

だから私もそういう優秀な中国人を見習って、できる限り先払いを心がけ ている。タクシーに乗ったら、まず自分から運転手さんに笑顔で「ニイハ オ」と言う。無反応なことも少なくないが、めげない。

マンションのガードマンさんには行き帰り、必ず笑顔で挨拶し、できる限 り雑談して、さりげなく労をねぎらう。ホテルやレストランでトイレに 入って、中で掃除をしている人がいたら「謝謝」とお礼を言う。とにかく 「先払い」する。

そうやってみると、中国の社会は格段に生きやすくなる。みんな私に好意 を持ってくれるからだ。偉そうにしていても何もいいことはない。

さすがに国家間の関係となると、先払いばかりしている訳にはいかないか ら話は複雑だが、相手の心理を考えるヒントにはなる。

「名を捨てて実を取る」という言葉があるが、中国社会はある面、多くの 人が自ら好んで「実を捨てて名を取っている」ようなところがある。この あたりに「中国」という巨大な存在とうまく付き合うカギがあるように思 う>(以上)

実に上手いね。支那流は「俺の面子をまず立てろ」なのだ。「さすがに国 家間の関係となると、先払いばかりしている訳にはいかないから話は複雑 だが、相手の心理を考えるヒントにはなる」、なるほど、日本が習近平を たたえ、譲歩すれば、WINWINで13億市場にアクセスできるというわけだ。

ところが日本企業の現実は「もうウンザリ、中国とは市場欲しさに“耐え がたきを耐え、忍び難きを忍んで”付き合ってきたが、もうピークは終 わった、中国ビジネスは今やお荷物、いかに撤収するかが課題だ」となっ ているだろう。

覆水盆に返らず、日本企業の中国進出を先導したパナソニックを2012年に 破壊した時点で、日中友好は終わったのだ。彼らは「井戸を掘った人」を 忘れるどころか血祭りにしたのである。我々は、少なくとも小生はこの暴 挙を永遠に忘れない。血は血で贖われるべきである。

経営の神様を侮辱した報復として、小生は中共党員8000万人は必ず殺す。 天安門式に戦車で踏みつぶす。それが嫌なら離党せよ、離党して誠意を示 せよ、先払いで「俺の面子をまず立てろ」や、習近平の首を持って来い。 さすれば情状酌量で罪一等を減じ、死罪から永蟄居閉門にしてやろう。汚 染大陸で自滅するがいい。

日本人の多くはそんな風に思っているのではないか。習近平が「平和的台 頭」「韜光養晦」をやめて「偉大なる支那民族の復興」へ舵を切ったとき に、中共は後戻りできない「面子迷路GO」にはまったのだ。間もなく穴に 落ちるだろう。(2016/8/6)


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2016.08.01

都知事選挙における安倍総理の慧眼と岡田党首の敵前逃亡

都知事選挙における二人の行動の意味がよく分かる。
以下はすべて渡部亮次郎氏から配信されたメルマガからの転載である。

安倍「変化球」、岡田「敵前逃亡」の裏を読む

 杉浦 正章

「厚化粧」に「袖カバー」が完敗
 
都知事選挙を国政面から分析すると、解せぬ「不可思議現象」が二つ生じている。一つは首相・安倍晋三が終始増田寛也の応援で街頭に立たなかったこと。他の一つは民進党代表・岡田克也が突如投票日前日になって代表選不出馬を宣言したことである。

安倍は首相就任以来常に攻めに徹してきたが、都知事選はパスした。いわば不作為の作為であり、初めての“逃げ”の姿勢をみせたのだ。これは一体なぜなのか。一方、「敵前逃亡」といわれた岡田の“逃げ”の原因はどこにあるのか。

まず、安倍の場合の最大の理由は、増田の第一声を聞いて「党内が愕然とした」(自民党選対幹部)ことにある。なぜ愕然としたかと言えば、擁立した増田に全く「華」がなかったのだ。

増田は虚勢と自己顕示の有象無象の世界であるテレビ・コメンテーターの中では、ただ1人まともなことをしゃべる知性派であった。しかし、第一声で街頭に立った姿は、まるで黒い「袖カバー」(腕抜き)をつけて村役場の受付に立つ係長の如きであった。

都知事選はミニ大統領選の様相があり、ある程度の「色気」がなければ票を集めることは出来ない。

とつとつと政策を述べる姿は真面目で、好感は持てても「女賭博師」のような小池百合子にかかっては、とても太刀打ちできない。たとえば小池から「岩手県知事を3期務めて借金を倍にした」と痛いところを突かれても、言い訳に終始して切り返しが出来なかった。

この「増田に愕然」の現実を如実に反映して、自民党が選挙前に行った世論調査で小池がややリードするものの拮抗(きっこう)していた支持率が、日を重ねるにつれて拡大してしまったのだ。フタを開けたら、演説する度に票を減らすタイプであったのだ。

これを見た安倍は、街頭演説をしても「無駄」と判断したに違いない。猪瀬直樹や舛添要一の都知事選挙の場合は、勝つことが間違いないから街頭演説に立ったが、負けることが分かっている候補を応援しても、プラスはないと判断したのだ。

それに長期展望をすればオリンピックに向けて、都庁との関係を悪化させるのは得策ではない。もともと安倍は当初から小池でいいと考えていたフシがあり、増田一辺倒の都議会とは一線を画していたのだ。安倍は周辺に「小池でもいいじゃないか」と最近漏らしている。

こうして首相になって以来攻めを続けて来た安倍が初めて「変化球」を投げるに到ったのだ。

一方岡田の「敵前逃亡」の場合は、やはり事前の世論調査の結果が大きく作用している。もともと鳥越俊太郎は民進党東京都総支部連合会会長・松原仁が隠し球として持っていたもので、岡田は相談にあずかっていなかった。その上鳥越の演説を街宣車上で聞けば、原発にしても何にしても共産党の政策一色。おまけに島嶼(しょ)部の消費税を「5%に下げる」などという、支離滅裂な政策まで独断で打ち出し、岡田にとっては苦々しいこと限りがない。

世論調査ではさすがにガバナビリティに欠ける都民もあきれたのか、3候補のビリを走っていることが判明したのだ。もともと9月の代表選挙に出馬しない意向を固めつつあった岡田にしてみれば、鳥越如きが敗れたから責任を取って代表を辞めると受け取られては不本意極まりない。

だから投票日前日になって急きょ、代表選不出馬を表明したのだが、この場合はトップに立つものとして無責任のそしりを免れないだろう。自己都合も甚だしい公私混同だからだ。松原が「なぜ四党の束ね役の岡田さんが直前に出処進退に言及したのか理解に苦しむ」と怒りをあらわにしたが、無理もない。しかし松原も鳥越を担いだ責任があることは否定出来まい。

岡田は自らが推進してきた民共共闘の限界を知ることになった。

かにかくして、自民、民進両党のトップの微妙な心境が、はからずも露呈されたことになるが、それにつけても小池のしたたかさはただ者ではない。

石原慎太郎から「大年増の厚化粧の女に都政を任せるわけにはいかない」とこき下ろされても、「今日は薄化粧で来ました」と壇上に立って池シャーシャーと発言、笑いを誘った。

明らかに小池はその狙いの焦点を「既成政党の不信の構図との対決」に絞った。「政党の推薦なし」を逆手に取った戦いが成功したのだ。師匠の小泉純一郎が「自民党をぶっ壊す」と対決の構図を鮮明にさせて成功したのと全く同じ図式である。

この既成政党への批判の姿勢は、小池がNHKの出口調査で自民党支持層の50%、民進党の40%、公明党の20%、無党派層の50%を獲得するという党派を超えての得票となって現れたのだ。

自民党も安倍が動かなければ、票は拡散するしかない。とりわけ都議会自民党は昔から伏魔殿と言われ、汚職のうわさが絶えず飛び交う傾向にある。五輪をめぐる黒いうわさも絶えない。

「冒頭で都議会を解散する」という小池の無知に根ざした発言も、自らが“邪悪”と戦う姿勢を鮮明にさせるものであったのだろう。

しかし小池には既に政治資金をめぐる疑惑が出ているように、場合によってはその姿勢がブーメランのように帰ってくる可能性を否定することは出来まい。ポピュリズム選挙に成功したからといって、都政までポピュリズムに徹すれば手痛いしっぺ返しを受けるだろう。

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都知事選挙におけるツイター等SNSの威力

都知事選挙は小池女史の圧勝に終わった。その勝因分析で同感できる所論を発見した。
以下はすべて
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成28年(2016)8月1日(月曜日)
          通算第4975号 <臨時増刊>
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からの転載である。

 レーニンの連立政府戦術の敗退
  毛沢東もボルシェビキに学び、天下を取ったが。。。。。
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 都知事選挙の結果は日本人特有の判官贔屓が鮮明にでたためである。
無党派の勝利などと単純明快な説明は耳に凧。それより鳥越惨敗の背景を政治的にさぐる必要がある。

 改憲阻止、野党結集を呼びかけて、野党四党が結束したにもかかわらず敗退してしまった。公約なし、出遅れ、週刊誌などと敗因が語られているが、肝心のことを忘れていないか。

 すなわちレーニン以来の左翼戦術が敗退したことである。
共産党の鉄壁の組織票さえ、二割前後が小池候補に流れたというのは、組織的締め付けが弛緩し、革命組織の紀律が破裂している事実を示唆してあまりある。

 レーニンは少数派ボルシェビキ率いて、「野党共闘」により革命を成功に導く。メンシェビキ(多数派)の壁を破り、かれらが実権を握るには、議会を長引かせ、徹夜も厭わず、議論に疲れた多数派が退場したと見るや、採決を強行し、主導権を握る。これがレーニンの組織論であり、のちに毛沢東が援用する。

 日本でも左翼暴力団といわれた全学連が自治会選挙で、よく使った手段である。
 自治会の一割にも満たなくても「組織された」党員が、多数派と連立を組んだかに見せ、議会を出席議員数でクリアし、多数派が退場したところで、居残った「組織された」メンバーが投票を行い、トンデモナイ議案も突如成立する。
その決議は合法となる。

 鉄の組織は、日本では弱体化した。野党四党の連立パターンは化けの皮が剥がれ、ついに左翼退潮の明確な兆しをしめしたのではないのか。
 レーニンの連術は死に絶えつつあり、トルコのクーデタ失敗や米国のトランプ現象のように、新しい武器はツィッター。このハッカー戦争を主導できる者が、これからの政治の中枢に躍り出てくるだろう。

 第三位の上杉、四位に食い込んだ桜井各候補も、組織票の宗教団体を超える得票を示している。何かが壊れ、従来になかった政治手法が、これから本格的に登場する契機となったのが、こんかいの都知事選挙だったように思える。

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